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GoogleがGemini 2.0、Deep Research、Agentspace、NotebookLMアップデートを発表 ― 各機能の概要と活用イメージを解説
2024年12月11日から14日にかけて、GoogleはGemini 2.0をはじめとした新しいAIアップデートを発表しました。大きくまとめると、主な発表は以下の5点です。
1. Gemini 2.0 発表
2. Deep Research 発表
3. 新たなResearch Prototypes (Project Astra、Project Mariner、Julesなど)
4. Google Agentspace 発表
5. NotebookLM のアップデート
それぞれ詳しく見ていきます。
1. Gemini 2.0
2024年12月11日に発表された「Gemini 2.0」は、Google DeepMindが開発する最新のAIモデルです。
これまでのモデルから着実に性能強化され、より複雑なタスクやマルチモーダルなメディア形式に対応します。
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主な特徴:
① マルチモーダル対応強化:テキスト、画像、音声、動画、コードなど、多様な形式の情報を理解・生成
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② ネイティブツールコール対応:Google検索やコード実行、外部API呼び出しが可能
③高速応答モデル「2.0 Flash(Experimental)」:1.5 Flashを踏襲しつつレスポンス速度と処理効率を改善
性能向上の具体例
Gemini 2.0 Flash(Experimental)は、1.5 Flashや1.5 Proモデルと比較して、多くの指標で改善を示しています。
コード生成 (Natural2Code)
Gemini 1.5 Pro:85.4%
Gemini 2.0 Flash Experimental:92.9%(約7.5ポイントの向上)
高度な数学問題 (HiddenMath)
Gemini 1.5 Pro:52.0%
Gemini 2.0 Flash Experimental:63.0%(約11ポイントの向上)
マルチモーダル理解 (MMMU)
Gemini 1.5 Pro:65.9%
Gemini 2.0 Flash Experimental:70.7%(約4.8ポイントの向上)
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提供形態とリリース状況:
開発者向け:
Gemini APIを通じ、Google AI StudioおよびVertex AIで2.0 Flashを利用できます
マルチモーダル入力からのテキスト出力は全開発者が利用可能
テキスト読み上げや画像生成は早期アクセスパートナーが利用可能
一般利用(GA)は2025年1月に予定
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一般ユーザー向け:
web版のGeminiアプリでGemini 2.0 Flashのチャット最適化バージョンを利用可能です
モバイルアプリでも近く提供予定となっています
さらに2024年末から2025年初頭にかけ、検索などのGoogle製品へも統合を拡大予定です。
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活用事例
Figmaの利用ガイド作成:
Gemini 2.0 FlashをGoogle AI Studio上で利用し、Figmaのデザインファイルを画面共有。
その上で、Figma内の各要素(コンポーネント、アセット、プロトタイプ機能など)について自然言語で質問し、
使い方や改善点、デザインガイドラインをまとめたドキュメントを作成。
AI Studioを通してGemini 2.0を利用すると、画面共有を通じてFigma上のUI要素をリアルタイムに理解するといったことが可能です。
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たとえば、「このテキストをもう少し中央寄りに配置したいのですが、Figmaでテキストを中央揃えにするにはどうすればいいですか?」と尋ねると、
Geminiが即座に「ツールバーのAlignmentオプションを選択し、"Center"アイコンをクリックする」など、具体的な手順をわかりやすく示してくれます。
現状、まだまだ日本語の発音は完璧ではないですが、英語は非常に自然に音声を出力できます。
これにより、資料を確認したり別タブを開いて検索することなく、
Figma画面を見せながら直接Geminiに質問し、その場で解説を得ることができます。
2. Deep Research
「Deep Research」は、Gemini Advancedユーザー向けに提供されている新機能で、複雑な調査タスクを自動化するリサーチエージェントです。
指定されたテーマに対し、複数ステップにわたるWeb検索や情報整理を行い、最終的なレポートを数分で生成できます。
レポートには参考リンクが付され、情報源へ簡単にアクセスできるため、学術研究や市場分析、ビジネス戦略立案など、多様なシナリオで活用可能です。
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特徴的なポイント
複数の検索クエリを自動的に実行:
単一のリクエストから、一連の検索→情報抽出→要約を自動化し、煩雑なリサーチ作業を軽減レポート形式での結果提示:
関連情報が論理的に整理され、参考URLや出典も併記。必要に応じて、元情報に直接戻って深掘り1Mトークンコンテキストウィンドウに対応:
幅広いWebページを対象に情報収集するため、より包括的な知見の収集が可能
利用方法
現在、Geminiアプリ(ウェブ版)でGemini Advancedプランに加入しているユーザーがDeep Researchを試せます。ただし、現時点では日本語には未対応です。そのため、利用する際にはGoogleアカウントの言語設定を英語(United Statesなど)に変更する必要があります。
Googleアカウントの言語設定ページへアクセス
Preferred LanguageをEnglish(United States)に変更
その後、Geminiアプリ上でDeep Researchを選択してトピックを入力し、レポート生成を実行
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活用例
新市場参入時の競合分析・戦略策定レポート作成:
Deep Researchを使えば、複数のウェブサイトや業界レポート、ニュースソースから情報を自動的に取得・要約し、
自社にとって有益な戦略案を数分で整理したレポートとして提示できます。
例えば、
「スマートホームデバイス市場に新製品を投入する際、競合他社はどのような価格戦略やマーケティング方針を取っているのか?」
「今後1年で市場規模がどう変化しそうか?」
といった質問を投げるだけで、Deep Researchが必要な情報を広範囲に収集し、
関連データや参考リンクをまとめたレポートを自動生成します。
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さらにGoogle Documentへの直接エクスポートも可能です。
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Deep Researchを使うことで、
・分散している情報を一括で整理
・リンク付きのレポートで元資料に即アクセス可能
・レポート作成や社内共有までのプロセスを大幅に効率化
活用すれば、報告書作成時の下調べや情報整理に費やしていた時間を大幅に短縮できます。
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