
OpenAI次世代小型推論モデル「o3-mini」登場。性能や価格を解説
日本時間2025年2月1日、OpenAIは最新の小型推論モデル「o3-mini」をChatGPTおよびAPIで正式に提供開始しました。
今回のアップデートは、特に科学、数学、コーディングといったSTEM領域における推論能力を大幅に強化するとともに、コスト効率や応答速度にも優れた性能を実現しています。

OpenAI o3-miniが正式リリース
「o3-mini」は従来の「o1」に比べ、推論速度と正確性が向上しており、特に科学、数学、コーディングの分野で顕著な性能改善を実現しています。
また、コスト面でも大幅な削減が図られ、1トークンあたりの価格は約93%低減されました。

使い方
モデルの選択
ウェブ版ChatGPTのモデル選択画面から、o3-miniまたはo3-mini-highを選ぶだけで利用できます。

検索機能の利用
プロンプト入力欄にある「Search」ボタンを選択することで、最新情報の検索が可能になっています。

プロンプト入力後、すぐに推論が開始されます。

開発者向け新機能と新しい推論オプション
今回はウェブ版でのアクセスに加え、o3-miniのAPIも同時に提供されています。
o3-miniの主な特徴は以下のとおりです。
関数呼び出し
外部ツールとの連携が可能となり、複雑な処理の自動化が実現されました。Structured OutputsおよびDeveloper Messages
構造化された出力と開発者向けの詳細なメッセージにより、API利用時の解析やデバッグが容易です。Reasoning Effortの選択
低、中、高の3段階から推論の深さを選択可能です。中程度の設定では、応答速度と正確性のバランスが得られ、必要に応じて「o3-mini-high」として高精度モードも利用できます。ストリーミング、Batch API、Assistants APIへの対応
実運用に適した柔軟なAPIアクセスが可能です。なお、APIはまず tiers 3–5 の開発者向けに提供され、順次対象が拡大されます。
簡単な利用例:reasoning_effortパラメータの使用
o3-miniでは、reasoning_effortパラメータを用いて推論の深さを指定できます。以下は、簡単なコード例です。
この例では、reasoning_effortパラメータを "high" に設定することで、より高度な推論モード(o3-mini-high)を利用しています。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
client.chat.completions.create(
model="o3-mini",
messages=[{"role": "user", "content": "33922の素因数は?"}],
reasoning_effort="high", # o3-mini-high を利用
)
モデル名: o3-mini
コンテキストウィンドウ: 200,000トークン
最大出力トークン数: 100,000トークン
ナレッジカットオフ: 2023年10月

STEM領域での性能向上
外部テスターによる評価では、o3-miniはSTEM領域での推論能力が大幅に向上していることが確認されています。
数学(AIME 2024)
高精度モードでは87.3%の正答率を達成。従来モデルから明確な改善が見られます。

科学的推論(GPQA Diamond)
PhDレベルの難問に対し、79.7%の正答率を記録。高度な理論問題にも対応可能なことを示しています。

プログラミング(Codeforces)
Eloスコアは2130に到達。コーディングタスクにおいても高いパフォーマンスを示しています。

提供開始時期
◎ ChatGPT Plus / Teamユーザー
即日利用可能
→ o3-miniおよびo3-mini-highに無制限アクセス。メッセージ上限
→ 1日あたりの上限が従来の50から150に拡大。

◎ Freeユーザー
即日利用可能
→ ChatGPTのプロンプト入力欄下部にある「Reason」ボタンからo3-miniを試用可能。

◎ Enterpriseユーザー
提供開始
→ 約1週間以内に利用可能となる予定。
◎ API利用(tiers 3–5 の開発者向け)
Chat Completions API、Assistants API、Batch APIは、まず tiers 3–5 の開発者に提供され、順次拡大予定。
API料金は以下のとおりです:
o1モデルと比べ、10分の1未満に削減されています。

まとめ
今回のアップデートでは、小型推論モデル「o3-mini」が正式にリリースされました。
o3-miniは、Reasoning Effortパラメータや関数呼び出し、Structured Outputsなどの開発者向け機能を搭載し、柔軟な利用が可能です。
また、低コストと高速応答を両立し、API利用は tiers 3–5 の開発者向けに提供されるため、実運用でのメリットが大きく期待されます。
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参考:
https://openai.com/index/openai-o3-mini/
https://platform.openai.com/docs/models#o3-mini
https://platform.openai.com/docs/guides/reasoning?lang=javascript#how-reasoning-works
https://openai.com/index/o3-mini-system-card/